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医師インタビュー「救急往診の現場で働くことが、総合診療医としてのスキルを高める経験となる」

救急往診現場で働く医師へのインタビュー記事"第5弾"は、都内で総合診療専門医として従事する西澤先生へのインタビューです。西澤先生は、2021年4月頃からファストドクターの医療提供に貢献してくださっています。
ぜひ、ご覧ください。

西澤 俊紀先生
年齢:30代前半
ファストドクター勤務歴:2年
勤務エリア:東京など

2023年7月のインタビュー時点

①ファストドクターで働きはじめたきっかけ

――ファストドクターで勤務しはじめたきっかけを教えてください。
都内で訪問診療のアルバイトを探していたとき、求人媒体でファストドクターを見つけたことがきっかけです。
私が常勤で働いている聖路加国際病院には訪問診療がありませんので、アルバイトで訪問診療の現場で働きスキルの維持や向上を図りたいと考えていました。ファストドクターはそんな私の希望に合った働き方ができると感じ、応募に至りました。
ちなみに、病院での普段の働き方としては、午前は内科的疾患の患者さんに対する初診や再診を行い、午後は病棟の患者さんを診たり、研修医へのteaching活動を行ったりしています。

――当時、ファストドクターへはどのような印象を持っていたのでしょうか。
往診と聞くと患者さんの自宅へ月2回ほどお伺いするような「定期訪問診療」のイメージがあるのですが、ファストドクターは初診の往診に対応する「一次救急」という捉え方をしていますよね。これはオリジナリティのある新しい概念で、新鮮さを感じました。
実際に働きはじめると、ファストドクターの「不要不急な救急車の利用を減らす」という経営理念を社員が一体となって実現に向けて尽力していることを感じました。創業者である菊池先生にはまだお会いしたことがありませんが、想いが共有されていて素晴らしいとも感じましたね。

②ファストドクターで働いてみて

――実際の往診ではどのような患者さんを対応しているのでしょうか。
夜間救急で受け入れると救急現場は困るだろうな……と思われるような患者さん、つまり、通院困難性は高いけれども夜間救急で診察するほどではない患者さんを診ることが多いですね。
​​手術や入院が必要な重症患者に対応可能な二次救急病院は、そうした医療が必要な患者さんのためにリソースを使うことが適切だと思っています。ファストドクターによって軽症患者を救急往診で診ることは、必要な患者さんに必要な医療を届けられる社会を作ることに繋がります。
ここに貢献できていることは、私のやりがいに繋がっています。

往診準備中の西澤先生

―― 一方で、救急往診は働く医師への負担がかかる印象があります。そのあたりはいかがでしょうか。
ファストドクターの勤務形態は、私の生活に合っているので大きな負担にはなっていませんね。ファストドクターで2年以上継続して働けていることが、その証拠だと思います。
勤務時間は決まっていますし、残業になった場合でもそこまで大きな影響はありません。また、ファストドクターの救急往診は、自宅から患者さんのご自宅まで送迎をしていただけます。私は運転をしなくてよいので、移動中に体を休めたり、ドクターアテンダントさんと談笑して過ごしたりしています。自宅からの往診ですので、通勤時間や帰宅時間を考えなくて良いことも楽ですね。
ファストドクターの皆さんは、医師が働きやすい環境を整えてくださっていることで、快適に働くことができていますよ。

――そう言っていただくと、一社員として嬉しく感じます。ファストドクターで働く動機となった、往診のスキルの維持・向上についてはいかがでしょうか。
その点についても、十分な経験を積ませていただいています。
私にとっては、小児患者さんを診ることができる点が、スキルの維持・向上という観点で魅力的です。というのも、私は後期研修を通して小児診療の経験を積みましたが、常勤先では主に15歳以上の患者さんを診ています。小児診療の経験に厚みを持たせる機会となっていて、とても嬉しく感じています。

③医師としてのこれから

――そもそも、西澤先生が総合診療医を目指したきっかけは何だったのでしょうか。
大学生の時から総合診療の勉強会によく参加していたことと、大学が公衆衛生の研究室で総合診療と親和性が高かったことが理由です。
実際に医師免許を取得した後の研修が始まってからでは迷うこともありましたが、どこかの臓器に絞った内科の専門医より、幅広く見れる医師の方が自分には向いてると思い、最終的には総合診療を選びました。

――総合診療医にはどのような魅力があるのでしょうか。
まず、医師としての働き方では、アルバイトに困らないという点が挙げられます。私が内科の専門医を選択していたら、小児患者さんを担当するアルバイトは出来なかっただろうなと思います。外勤先で困ることがないと思いますね。
つぎに、医師のキャリアとしては、先ほどもお伝えしたように幅の広さが挙げられます。臨床の現場だけでなく、研究に関しても幅が広いです。例えば、クオリティーインプルーブメント(「より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる」という考え方)を専門にされている方たちもいて、今後の日本の医療に求められるのだろうなぁと感じています。
希少疾患や難病の患者さんにとっては、専門医はとても必要な存在だと思っています。一方で、多くの患者さんにとっては近くに総合的に診れる医師がいることも大切です。将来の需要を考えたときにも、総合診療医が強く求められていくものと考えています。

――総合診療医として、今後どのようなキャリアを描いていますか。

今は総合診療医の教育に関心があり、この先の数年間は研修医の教育に注力していきます。
そして、総合診療医の教育はファストドクターの勤務と親和性が高いと思っています。というのも、ファストドクターで診る機会の多い内科・小児科疾患は、総合診療専門医として必ず勉強しなければなりません。働くことが学びに直結することは忙しい医師にとっては良い機会だと考えています。それだけではなく、東京に住む患者さんの「生活」を知ることや小児・高齢者の救急対応を経験できることも学びになります。
総合診療科の専攻医には、ファストドクターで働くことをお勧めしたいです。

④この記事を読んだ医師のみなさまへのメッセージ

――なかには、往診の経験がないという方もおられると思います。往診の現場に出る前に知っておくべき知識などはありますか。

マナーについて学んでおくと良いと思います。
往診の現場は患者さんのご自宅になりますので、私たちは患者さんの生活に入り込んでいくことになります。そのため、ご自宅や地域の方々に対して失礼のないように努めていく必要があり、マナーについて学ぶことは欠かせません。挨拶や言葉遣いといった基本的な内容だけでなく、ご家庭ごとの約束事のようなものにも気を遣えるようになると良いと思います。
そして、医師としては診療が気になると思います。こちらの一冊は診療について実践に即した内容が書かれていておすすめですので、実際に現場へ向かう前に事前に目を通しておくと良いかもしれません。

―――最後に、この記事を読んだ医師の皆さまにメッセージをお願いします。
まず、今ファストドクターで働かれている医師の皆さま、本当にお疲れ様です。ファストドクターでの勤務では色々な場所への移動もありますので、車の中から見える景色やドクターアテンダントさんとの会話も楽しみながら、共に患者さんへ最適な医療を提供していきましょう! 
そして、これから一緒に働く医師の皆さま。ファストドクターでは往診で一次救急を担うという他ではない経験をすることができます。医師としてのキャリアアップにも繋がるでしょうし、医療インフラの構築を目指すという大きな取り組みにも繋がります。一緒に働けるときが来ることを楽しみにしています!

西澤先生、インタビューに応じてくださりありがとうございました!

文・喜多 一馬