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会社と公共、双方に寄り添って活動を展開する”公共政策部”とは

ファストドクターに新たな役割をもった「公共政策部」という部署が立ち上がりました。その部署のミッションや業務、組織体制、そしてどのような人材を求めているのかなど、福島部長にお話してもらいました。

福島 直央プロフィール
一橋大学法学部卒業、同大学院社会学研究科の修士課程(社会学)修了後、2005年4月に総合シンクタンクである三菱総合研究所に入社。主任研究員として情報通信政策に関する研究・コンサルティングに従事。主として総務省、経済産業省、消費者庁等の官公庁の調査・研究及び実証事業と、民間の通信事業者のコンサルティング業務等を担当。
事業会社の経験を求めて2018年3月にLINE株式会社に入社。官公庁、自治体を対象とした渉外業務や、公共セクター向けのLINE及びLINE関連サービス利用に関する提案、防災関連事業、CSR活動、コロナ対策等を推進。公共政策室室長、サステナビリティ推進室長等を歴任し、行政DX、防災DX、CSR、ESG、SDGs等を所管。2023年3月に退社。
コロナ禍での経験から医療DX、災害DXの推進が重要と考え、2023年4月に執行役員VP of Public Policyとしてファストドクター株式会社に入社。
AI防災協議会理事、神戸市レジリエンステクノロジーオフィサー、山口市最高情報統括責任者補佐、国際大学GLOCOM客員研究員等を兼務する。


主な業務は「政策対応」「信頼関係の構築」の2つ

━━はじめに、公共政策部とはどのような部署なのかを教えてください。

福島:
部署の名前に「公共」とあるように、政府や官公庁、地方自治体といった公共の団体や人を対象に仕事をする組織です。この仕事はGvernment Relations(GR)と呼ばれることが多いですので、今後社内ではそう呼ばれることが多いのかなと思っています。

公共政策部の業務は大きく分けて2つあります。1つ目は政策対応です。私たちが取り組む医療分野には様々な法規制があります。現状の法規制を守ることは大前提ですが、例えば、既存の規制が紙の使用を前提としているために、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを受け入れにくくしているということもあったりします。それが現在の状況において本当に患者さんを守り、医療の質向上につながっているのかを検証し、時代に合った適正な形にする規制のあり方を、政治家や関係官庁に提案していくことが業務の一つです。

2つ目は、各種団体との信頼関係の構築です。ファストドクターの事業は官公庁だけでなく、色々な団体との連携が必要になります。医療という観点からは日本医師会や、各種学会、法規制面では国会議員で構成される議員連盟や、経済団体などが対象になってきます。ファストドクターは医療業界の「黒船」と見られがちで、残念ながらすぐに膝を交えてお話をさせていただくのが難しいケースも確かにあります。ファストドクターが掲げる「生活者の不安と医療者の負担をなくす」というビジョンを、そうした団体に対してしっかりと説明し、理解を得ることが重要です。ある意味で公共政策部は、ファストドクターのビジョンを広く様々な人・組織に伝え、理解者を増やすために活動する部といっていいかもしれません。掲げるビジョンを実現するための仕組みをつくっていく部門と考えていただけると良いのかなと思います。

━━わかりやすい説明をありがとうございました。加えて、この部が発足した背景についても教えていただけますか。

福島:
政治家や官公庁、自治体などと連携をするGRの仕事を、これまでファストドクターでは代表取締役医師の菊池亮先生が一人で担ってきました。菊池先生が創業者としてそのような仕事をすることは理解を広げるためにとても意味のあることなのですが、事業が発展してコミュニケーション先が増え、菊池先生だけでは追い付かなくなったというのが大きな理由です。

コロナ禍をきっかけに国や自治体との関係ができ、今後もこれらの組織との関係は重要な立ち位置となってくることがわかっています。そのような状況で、さらに公共とのつながりを深めるにはしっかりとした専門部署を置いたほうが良いという判断から設置されたと理解しています。

他部署と情報交換をしながら会社と公共、双方に寄り添って活動していく

━━部署の体制はどのようになりますか。

福島:
公共政策部のなかに「渉外室」と「政策企画室」を設置しています。渉外室は主に永田町担当です。永田町とは国会や首相官邸、自民党本部がある場所から転じて「政界」を指す言葉なのですが、この永田町にいる方々への情報提供を行い、連携を深めることが主な仕事となります。

政策企画室は、業務を行う上で必要なコミュニケーションのほか、私たちが必要と考える政策や規制のあり方に関して関係省庁や政治家に説明するロジックや資料を検討し、具体的な提案を作成するチームです。

既存の法律は、制定された当時の時代背景から必要とされて作られたものです。その改正を求めるには相応の根拠と社会状況の変化を説明できないと納得は得られません。私たちが関係する省庁は、厚生労働省、内閣府、デジタル庁、総務省、経済産業省等がありますが、事業に関係する政策の動向を把握し、それに対する私たちの考えをまとめた資料を作成する。それを元に渉外室と一緒に政治家・省庁などの関係各所を回り、理解を求めることによって、ビジョンの実現に近づくと考えています。

人員は各室2、3名規模でスタートし、ファストドクターの事業領域が広がるのに合わせて増やしていきたいと思っています。

━━医師不足などの地方自治体の医療課題解決の支援を目的としてできた「地域医療推進部」とはどのような関係性になりますか。

福島:
公共政策部は政治家や厚労省などに対して政策寄りの対応をする部署で、一方の地域医療推進部は、自治体を対象にファストドクターの医療支援サービスを提案し、事業拡大する部署という違いがあります。私たちはビジネス部門というよりは、ファストドクターのビジョンを広げる活動に主軸を置いています。

しかし、両者の連携は非常に重要です。政策課題を把握していくには、地域医療推進部との連携が必須ですし、また、逆に地域医療推進部が取り組んでみたい事業を実施するための枠組み作りを私たちが協力して行うといった連携も考えられます。互いに情報交換をしながら両輪で動いていくことが大事だと思っています。

「プライマリ・ケアプラットフォーム」の実現を目指したい

━━公共政策部が目指す世界観や目標を教えてください。

福島:
ファストドクターは、普段から何でも診てくれて相談に乗ってくれる身近な主治医の機能を持つ「プライマリ・ケアプラットフォーム」となることを目指しています。その事業としての取り組みは各部門が進めていますが、公共政策部では、その必要性を政治家や官庁、自治体に理解してもらい、受け入れてもらえるような環境をつくることを目指しています。

公共政策部はビジョンの実現に最も忠実でありたいと思っています。ビジョンの実現のためにはファストドクターとして短期的に得にならないことをする必要が生じる場合もありえます。ただそれを乗り越えることで、最終的に社会とファストドクターの双方にとって良い環境を得られるならば、そのような選択肢を経営に提案することも私たちの仕事と考えています。

重要なのはファストドクターのビジョンを実現したいという強い思い

━━公共政策部として、今後どんな人にジョインしてほしいですか。

福島:
ファストドクターのビジョンに共感し、それを実現するために必要なことを是非やりたいと思ってくれる人です。政治家へのアクセスが得意だとか、今までコンサルタントをやっていて医療系に詳しいといった人も、もちろん来てほしいですが、それよりもやはりビジョンに共感して熱意を持って仕事ができる人です。

GRの仕事は緊急対応を求められることも多くあります。前日夜に重要な方への説明機会をもらえて翌日の朝までに資料を作ることを求められたり、急遽遠くの自治体に飛んで話をしてくる必要が生じるなどという、泥臭い働き方がまだ残る世界です。コロナ禍でオンラインで会議をやれるようになったとは言いますが、GRでは人と人との関係性がとても重要で、それはオンラインだけではどうしても難しい面があります。

こういう仕事を頑張れるかどうかは、目指すビジョンを実現したいという強い思いがあるかどうか、そこが重要になると考えています。加えて聞き上手で、人付き合いが好きな人は向いていると思います。

GRの経験者は世間的にまだ少なく、誰もが初心者から現場を踏んで経験値を高めています。人材が少ないだけに、大手企業からベンチャーまで経験者は引っ張りだこの状況も見られます。ファストドクターのGRは、自分で言うのも何ですがかなりのレベルの人材が揃っていて、そしてぶつかる壁も多くありますので、経験として得られるものは大きいと思います。

そうした新しい仕事にファストドクターで挑戦してみたい人のご応募をお待ちしています。

文:斉藤 泰生
撮影場所:ポートシティ竹芝WeWork内