日々変化し続ける環境で、自らの成長も実感できる。ーファストドクター共同代表・水野敬志さんインタビュー【後編】
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2016年、夜間往診プラットフォームを提供する「Fast DOCTOR(ファストドクター)」の立ち上げ直後から、医師である菊池亮さん(以下菊池)と共同代表を務めている水野敬志さんにインタビュー。
後編では、ファクトドクターという組織の魅力や、今後のビジョンについて伺いました。
日々急速に変化するベンチャー企業を、よりよい組織にするには。
──組織をつくる立場として、水野さんが心掛けていることを教えてください。
ファストドクターは、チーム体制で回している事業です。ひとりの患者さんを診察するまでには、前準備からフォローまで、長いプロセスがあります。
このプロセスをそれぞれのチームが横連携しながら進められるのが重要なので、あえてチームのミッションは明確化せず、それぞれのプロが柔軟に活動できるよう心掛けています。
また、ベンチャー企業は変化の速度が早いので、「一人だけ浦島太郎状態になってしまった...」ということがないよう、ハドルと呼んでいる15分の全員参加のリモート会議を毎日行ない、情報を漏れなくキャッチアップできる体制をつくっています。
──現在の組織の魅力や強みはなんでしょう。
エンジニアでない人も、情報の漏れをなくそうと自分たちでGoogle App Scriptやbotなどの環境構築を積極的に行い、「人に頼まずとも、まずは自分でつくってみる(やってみる)」ことができる人材が揃っている点です。東大病院に勤務していた看護師が、うちではCovid-19の陽性率をSQLを自分で集計して、勤務する医師にBot配信をしています。
またベンチャーは、日々定義されていない新しいサービスが生まれる場所。そのため、自身の領域外の業務も日々たくさん発生しますが、その状態でも人に仕事を押し付けるのではなく、積極的に自分から拾ってくれる人が多いです。
そのおかげで、業務改善および組織が成長するスピードが速くなり、新事業の展開にもつながっています。実際に、2020年の4月10日に初診でのオンライン診療が解禁されたのですが、大手が「夏頃に参入します」とアナウンスするなか、ファストドクターは翌日の4月11日にサービスインしました。当然ながらオンライン診療における役割分担は明確になっていなかったのですが、事業開発・コールセンター・医療統括などの各マネージャーが走りながら役割を徐々に分化させいてく、非常に有機的なチームプレーだったと思います。
──「自ら考え、行動する姿勢」、大切ですよね。
はい。採用面接の際、そこは最も大事にしているところです。自身の領域外の仕事をやっていただく機会があることは、事前に必ずお伝えしています。
さらに、ベンチャーでは前年比での成長率を2倍、3倍にすることが求められいてます。このためには、日々進化し続けしなくてはいけません。
昨日より今日、サービスがよくなっている、そのためには、従業員自身が成長していることが必要です。したがって、そういったダイナミックな変化を楽しめる方が合っていると思います。
「救急往診」という文化をつくる。そのために、日本全国へ
──水野さんの今後のビジョンを教えてください。
近い将来、「救急車を呼ぶ」という選択肢だけでなく、みんなが当たり前に「救急往診」という受診行動をとり、文化として定着させていくことがビジョンで、創業当初から変化はありません。
ですが、最近はビジョンを達成するための課題がクリアになってきました。それは、「日本」という大きな単位でみたときに、僕らのインフラが都市部に集中してしまっていることです。
医師が移動することを前提とした救急往診は、地方では限界があります。ITの力を活用し、遠隔でも必要とされる医療が提供できるインフラをつくっていきたいです。
──「ファストドクターで働いてみたい」という方にメッセージをお願いします。
ファストドクターに関わるのは、日本のマクロな超高齢化社会問題の課題解決に向き合うということ。あなたの仕事や頑張りが、日本の医療の課題解決につながる、とてもおもしろい場所ですよ。
自分の能力を社会貢献のために生かしたいと思っている方は、ぜひ弊社で力を発揮してほしいと思います。
特に、医療業界のIT体制はまだまだ整っていません。医療業界にITを展開し、医師や患者さんに優しい世の中を実現するために、一緒に走りましょう。
<取材= 高橋まりな 文=小泉京花 撮影=Yuki Tsunesumi 編集=FastDOCTOR / staff note>