見出し画像

技術開発により医療の生産性を高めることが使命/ファストドクターのエンジニア組織(2/4)

ファストドクター事業をテクノロジーの側面から担うエンジニア組織の今とこれからについて、技術開発部長である宮田芳郎さんに4回にわたって伺う本インタビュー。

第2回の今回は、技術開発部のミッションや開発内容について伺いました。

 > 第1回のインタビューはこちら

宮田芳郎|ファストドクター株式会社 技術開発部長
私立開成高校、東京工業大学情報系学科大学院卒。製造業系のコンサルティング会社インクスに入社しソフトウェアエンジニアの経験を積む。2009年にインクスの同期4人で株式会社ガラパゴスを創業。 Qubena小中5教科の開発責任者を経て、2021年12月、ファストドクター株式会社に技術開発部長として入社


──ファストドクターの技術開発部で働く醍醐味は何でしょうか?

オペレーションが複雑なファストドクターの生産性を技術開発によって高めることが、日本の医療の生産性の改善に直結することだと思います。

例えば、日本の社会保険料を高いと感じている人も多いと思います。これを下げるには、「コストカット」ないし、「医療の生産性の課題の解決」という2つの方法が考えられます。

しかし、1つめのコストカットを選んでしまうと、医療の質を落とすことに繋がりかねません。となると、必然的に2つめの生産性の課題の解決に取り組むことになります。この生産性の課題に切り込むことができるのが、ファストドクターの技術開発部の醍醐味です。

例えば、ファストドクターの往診事業では、医師は(1)事務員としての保険証の本人確認、(2)医師としての問診・診察、(3)看護師としての検査、(4)薬剤師としての医薬品の説明と手渡しという、1人4役をこなすために、1人の患者に35分の時間がかかっています。

ここに、マイナンバーカードによるデジタル認証や、音声入力カルテ、RFIDタグによる調剤結果の自動登録などを導入できれば、事業の生産性を上げられるだけでなく、その技術を他機関にも展開するなどして医療全体の生産性を高められる可能性もあると考えています。

──現時点で技術開発部が行っている開発には、どのようなものがあるのでしょうか?

今、主に行っているのは、往診の受け付けから医師の派遣までを管理する業務システムの開発です。患者さんたちがファストドクターアプリやWeb、LINE Botから往診を依頼する、コンタクトセンターが依頼内容を記録する、その内容を医師やドライバーアテンダントが見る、といったことを1つのシステムで行っていて、その改善や機能追加などを行っています。

現状、システム開発が追いつかなくて、契約医療機関や自治体からの依頼の受付ツール、KPIの自動通知ツールなど、Google Apps Scriptでつくって運用しているツールが多数あるので、今後必要に応じて業務システムに移行していく予定です。

また今後、会社として新しいサービスをどんどんつくっていくことになるので、その開発も担っていくことになります。

スクリーンショット 2022-02-25 12.18.02

※画像 往診の受け付けから医師の派遣までを管理する業務システムの一部


──改めて、技術開発部門のミッション教えてください。

エンジニアリングの枠内にこだわらず「新しい医療」を作りたい

医療領域のソフトウェア開発って直感的に難しいものに感じる方は多いと思います。現実問題として医師国家試験というのは最高難度の資格試験ですし、知識のアップデートも速いです。

そのような領域の中でも、技術開発部である私たちの勝ち筋は「自分はシステム屋、医療の専門家が別に居る」と思考停止しないことです。私は法律的に医療行為は行えないですが、自分自身も医療従事者である、という気持ちだけはもって一緒に新しい医療を作っていきたいと思っています。

技術というのはトレードオフを解くものだと思います。エンジニアが医療行為の価値/コスト/リスクを理解していないと、トレードオフを把握出来ません。それでは技術が作れないです。その時に「医療の専門家で無い人達が、どのようにして医療の言葉で話せるようになるか」はとても本質的なテーマです。

このテーマに取り組んでいけるよう、今ある入社時研修も、各職種ごとの内容はかなり充実してきています。私個人としても教育手法については前職で相当勉強しており、社会にインパクトをもたらす事ができたと思っています。ですので、このテーマについては、自分が切り開いていける領域だと考えています。

また面接をしていると「ドメインスペシャリストとのFusion(融合)をもっとしたいのに」と思っている人が結構いることに気づきました。そう感じている人にとって、とても良い開発現場だと思います。

最先端のテクノロジーを駆使して「時に劇的」に解けるか

高齢化社会の中で、日本の医療費は増え続けています。だれかがどこかで非連続な効率化を実現しないと社会がもたないんじゃないかと危惧しています。私達はスタートアップとして非連続な出来事を実現する役割を持っていると認識しています。

10倍、20倍、100倍のような効率化を狙う時には、エッジの立ったテクノロジーの導入が必要です。今はまだエラーが多く厳しいですが、どこかで量子コンピュータも実用化出来るチャンスは来ると思います。現実の問題に取り組みつつも、しっかりデータを残し、最先端のテクノロジーにキャッチアップしながら、チャンスは狙っていきたいなと思います。

手段としてAIは使っていくと思います。小規模データでも動くオントロジー/ルールベースのやりかた、中規模データを前提にしたTransformerモデルは経験があるので、ここぞという時に使っていきます。

とはいえ、医療というのは「当たり前」に動かないといけないものです、リスクを取って劇的に改善すべきなのかどうか見極めはとても大事です。

高いミッションを実現するため、最高のエンジニアリングチームを作りたい

このミッションを達成するために最高の開発組織を作っていくのが私の最重要な仕事です。優秀な人ほど優秀な人に惹かれますので、そういった方に選んで頂けるように全力で取り組んで行きたいと思っています。じゃあどうするのかというと、トートロジーのようで恐縮なのですが、優秀な人を採用するために優秀な人を採用します。

開発組織の組成やファストドクターで働く魅力については、次回以降お話していきたいと思います。

※次回はエンジニアとしてファストドクターで働く魅力について伺います。 
  第3回の記事はこちら