「ITのチカラで地域や時間などの制約に囚われることのない医療提供を実現する」DXチーム転職ストーリー連載 第1弾
こんにちは。
採用広報を担当している大塚です。
今週からファストドクターの”患者・医師”の両体験をスムーズに変革させているDXチームの入社エントリーリレーがスタートします。
1人目は小出雄大さんの投稿です。
ぜひご覧ください。
マイナスだと思ったパンデミックが全てを変化させ、プラスに転じた
私が新卒採用でコンサルタントとして働きはじめ、マネージャーになるまでの時間は、今ほどコンサルティング業界そのものが有名ではなく、働くことが好きで、夜通し議論している人たちばかりが生き残り昇進していくような場所でした。
そのため就職後の家族時間は1週間を通して数時間、かろうじて家に帰り同じ部屋で寝ているだけの関係性だったといわざるをえません。非常に忙しい毎日ではありましたが、それでもやりがいがあり、充実感を持って働いていました。私がマネージャーになって以降、社会全体での働き方改革の要求の高まりや、業界全体の自浄作用もあり、少しずつ労務環境は改善していった一方で抜本的なワークスタイルの転換には至りませんでした。
しかし、新型コロナウイルスは従来のコンサルティング企業の働き方を完全に変化させてしまったのです。物理的に出社ができないという制約を抱え、クライアントや同僚と直接顔を合わせることなく、どのようにプロジェクトを完遂させるのか?を考えなければならなくなりました。当初は直接クライアントと顔を合わせることができないことに戸惑いがありましたが、少しずつ慣れてくると、私の生活はこれまでの社会人人生にないくらい充実したものになりました。
具体的には毎日家族と食事ができ、また、それまで通勤や移動に費やしていた時間を自己研鑽や余暇に使うことができるようになりました。また、週末に仕事の疲れを忘れるために同僚と飲み回っていたことによる浪費もしなくなり、食生活が整い、睡眠時間が確保できるようになり、健康的な生活になりました。
その反面で、テレビや新聞を通してみる世間の惨状と自分の生活の安定化に大きな乖離を感じるようになりました。日々新規感染者数は増える中、現場は切迫し、医療崩壊が叫ばれる中、十分な休息も取れない状態で自身の危険も顧みずに未曾有のパンデミックと戦う医療従事者の姿に心を動かされ、そういった現場の状況に今まだ体力のある30代の自分の時間を使って貢献したい、と思ったことが転職を考え始めたきっかけです。
まだまだコンサルティング業界でやり残したことも多いと感じつつも、今すぐに自分自身の力が医療の現場、そして病気に苦しむ市民のためになることがあるのではないか?と考え悶々としていた時、ファストドクターと出会いました。
私の面接を行ったファストドクターの社長を含む社員3人全員が自分と同年代で、何かをしなければ、とふつふつと考えているばかりで時間が過ぎていく自分と、考えたことを実際に事業として形にし、日々行動で医療の「当たり前」に挑んでいる彼らとの覚悟と行動力の違いに愕然としました。
社員との面接を重ねる中で、少しずつ自分の覚悟が固まっていくのがわかり、内定が決まった時は13年お世話になったコンサルティング会社を辞めることになんの躊躇も抱かなくなっていました。
転職してよかったと感じた、印象的な出来事
ファストドクターでは主に提携医療機関を通して救急往診と救急オンライン診療を患者さんにお届けしています。普段はモバイルアプリ、Webやお電話から一般の患者さんの受付を行いつつ、各地方自治体の保健所を経由してコロナ陽性者の自宅療養患者の診察受付も行っています。
事業としての最大のチャレンジは、いつやってくるかわからないコロナの波による繁忙に対して柔軟に調整可能な医療リソースをどのように確保するか?という点です。
私は2022年になってからファストドクターに入社をしていますが、既に第6波・第7波の2回の波を経験しました。
特に第7波の勢いは想像を絶するものでした。新規感染者の増加に伴い、1週間ごとに診察件数が文字通り倍になるのです。この間、自宅療養者支援を行っている行政連携自治体を新たに受け入れたくとも、既に社内の医療リソースは医師も看護師も、薬さえも十分に提供できないという懸念があり、何よりも重視しなければならない医療品質を犠牲にするリスクがあります。
この状況をどのように乗り切るか、会社としての事業成長と医療品質の担保、そして社員のワークライフバランス、社員一人一人に守りたい正義がある中、経営層から現場の社員に至るまで、毎日深夜土日に関わらず、どこが我々が受け入れられる限度なのか。限度を拡張するための工夫はないのか?を議論しながらコロナの波と戦いました。
当然毎週倍になる業務をすべて士気の高い社員の労働時間だけで賄うわけにはいかないので、既存の業務の「当たり前」のルールと慣習を毎日のように疑い、その夜考えた新たな施策を翌朝から試し、自動化・効率化していく。この高速のPDCAサイクルによって、第7波のピークを途中離脱する社員を出さずに無事こえることができたと感じています。
社員一人一人が相互に補完しながら会社全体として、絶対に諦めない士気の高さ、理想論に甘えない現実的な解決策を見つける事業面のバランス感覚、医療に対する確実な知識、そしてそれを業務に落とし込んで確実に実行するこだわりを貫けたからこそできた偉業だと誇りに思っています(転職してよかった!)。
リードタイムを最小限にし、医療従事者には本業だけに専念してもらう環境作りを
少しずつ業務効率が上がってきているとはいえ、まだまだ改善の余地は至る所に残っています。第7波に対しての備えがあと1週間でしっかりできていれば、より多くの患者さんにファストドクターのサービスを利用していただけたかもしれません。あと20人医師・看護師を多く採用できていれば、システムの拡張性をもう少し担保できていれば、、、など、改良の手段は尽きません。
DX推進はこれらの反省を無駄にすることなく、AWSやGoogle Cloud Platformといったクラウドサービスのように業務のピークに合わせてダイナミックに提供可能なリソースを調整できる仕組みを、システム基盤だけでなく、会社の業務全体として社会に提供できるようになりたいと考えています。
最大のチャレンジは医師そして看護師といった「人」的リソースです。クラウドサービスやシステムリソースと異なり、人は必要な時にすぐに採用し、研修して即戦力になっていただくまでにはリードタイムが必要です。
このリードタイムをなるべく最小限にし、勢いのあるリソース調達を実現したいと思っています。ファストドクターは日本トップクラスの技術力を持ったエンジニアにジョインしてもらっていると自負していますが、医療業界においては患者さんとの対面でのコミュニケーションの重要性や紙による申請・報告が必要な手続きが多数残っており、テクノロジーによって自動化・効率化・脱俗人化を狙える部分がまだまだ多く存在しています。
そのため、今後は医師・看護師のような医療のスペシャリストにはリアル・バーチャルに隔たりなく直感的に患者さんとのコミュニケーションに集中してもらえるような環境作りの一環として、煩雑な事務手続きや慣れないシステム操作に神経を使うなど、業務に”慣れる”ための煩わしい準備期間を低減していく施策を推進していきます。
地域や時間といった制約に囚われることのない、医療基盤の実現を
今後、加速する超高齢社会における需要の高まりと、医師の働き方改革の推進により、さらなる医療リソース不足という二重苦が日本の医療の現場にのしかかります。また、現在でも地方にお住まいの患者さんは病院へのアクセスに非常に多くの時間と労力を費やすなど、本来平等に分配されるべき医療資源が場所により偏っているといった課題は現実問題として発生しています。
患者さん一人一人が自分自身の生き方や死に方の意志を持ち、尊厳を持って決断できるようになるためには、必要な時に適切な医療に関する情報と医師にアクセスできる環境が前提になると考えます。
新型コロナウイルスは医療の現場に多くの負担をもたらしましたが副産物として、オンライン診療の普及などの新たな試みが広がったことは、将来の日本の医療にとってポジティブな側面として捉えることができると考えています。
ファストドクターは患者さんへの医療アクセシビリティの向上に向けて、厚生労働省、自治体、各医療機関といった医療に携わる関係者の皆さまと積極的に意見交換を行いながら、先進技術を現場に落とし込み、地域や時間といった制約に囚われることのない、医療基盤の実現を目指していきます。
自分の施策が反映され、患者体験につながる所を実際に目にすることができる唯一無二の会社
DXという言葉が採用市場のみならず様々な場所でBuzzワードになっていることは、私がコンサルティング会社にいる時から注目されていました。DX推進部の立ち上げそのものが目的化してしまい、実際に効果のある施策を打ち出し、実現する企画力と実行力を兼ね備えたDX推進部を作り上げることに成功した会社の割合はごくごく一部というのが現実だと思います。
DXの本質は貪欲に会社自身が進化し続けることにあると考えます。その点、ファストドクターは会社そのものがDXの塊といっても過言ではありません。上述した通り、ファストドクターは患者さんにより良い医療を提供するため、来週倍になる業務を乗り切るため、先進技術であってもまだ実績のないプロダクトであっても可能性があるものは試し、効果があると実感できた翌日からすぐに現場業務に落とし込みます。
新たな施策を自分で提案し、本番業務で実際にPoCを回すことができることはスタートアップの醍醐味と言えます。お客様の本番業務そのものへの落とし込みには、お客様の許可が必要であったコンサルティング会社にいた時代では、想像できないスピード感です。第7波の最中でも非常に多くの施策が試され、1日として同じ業務であったことはなく、毎日のように進化がありました。イスラエル初のウェアラブルデバイスやGoogle社の最新プロダクトも含め検証を行い、使えるものはその場で使いはじめ、業務を自動化する毎日のため、会社自体がいい意味で第7波以前と別物になっています。
医療という社会的意義の高い領域において、最新技術を用いて出来ることを考え、実行に落とし、それが患者さんの体験につながる所までを実際に目にすることができる場所は他にないのではないかと思っています。
「承認より謝罪」の精神が根付いているチャンレンジングな会社で楽しく働く
ファストドクターは途方もなく大きな歴史と慣習をもつ「医療」という領域に変革をもたらそうとする組織です。そのため、変化を受け入れ、自分自身も変化することを躊躇わない人であれば楽しみながら働ける環境だと信じています。ファストドクターの文化の1つに「承認より謝罪」というものがあり、誰かに承認を得るために時間を使うのではなく、まずはチャレンジすることを優先するというニュアンスです。これに象徴されるように新しいことを自分自身の手で試してみたい人、問題点を見つけ、改善を提案し、自分で行動できる人にとってはまたとないチャレンジングな環境です。
世界には全員がなんとかしなければいけないとわかっていながらも放置されている多くの問題があります。貧困、紛争、気候変動などさまざまあると思いますが、医療は間違いなく現代日本において最重要テーマにあたります。
自分自身だけではなく、自身の両親・友人・子供たちが尊厳を持ってその人生をまっとうしたいと願う時、国としての医療のあり方は現状のままでは限界にきています。私はこれを他ならぬ自分自身の手でファストドクターという同じ志と多様なバックグラウンドをもつ仲間とともに、変えたいと思っています。近い将来、同じ志を持つ仲間に一人でも多く出会えることを願っています。