「医療DXが国家戦略の柱に。今が真のチャンスのとき」DXチームストーリー連載 第2弾
こんにちは。
採用広報を担当している大塚です。
今週のDXチームの投稿は水野さんによるファストドクターにおけるDXの最新状況についての記事です。
採用プロセスでお会いする方などに「note読みました!」と言っていただけることがあるようで、昨年5月の記事となるとスタートアップにとってはあまりに昔のことすぎるので、"リアル産業のデジタル化"といったテーマに興味がある方に読んでいただけると嬉しい!とのことです。
ぜひご覧ください。
創業理念の実現に大きく近づいた、この1年の進化
ファストドクターのこの1年での最も大きな進化は、「不要な救急出動を減らす」という創業理念の実現に飛躍的に近づくことができたことです。2016年の創業から2020年までの4年間のファストドクターは、患者さんが直接ファストドクター(の参画医療機関)に往診を依頼するというシンプルな構造でした。しかし、この1年でファストドクターは、「行政(保健所・消防)」と「かかりつけ医(医師会)」という2つの地域医療の要との連携を獲得しました。患者さんが普段からコミュニケーションをとっている行政やかかりつけ医にまず相談し、その行政・かかりつけ医が必要に応じてファストドクターに診察を頼むという新たな流れです。これにより、従来はリーチできていなかった、「たまらず救急車を呼んでしまった」ような人たちにリーチできるようになったのです。新型コロナウイルス感染の第7波では約7割の患者さんが、地域医療からの診療依頼となりました。
もう一つの大きな変化は、やはり組織の拡大です。Series Bの資金調達を行った2021年8月時点での社員数(フルタイム)は23人でしたが、2022年9月1日時点では90人にまで4倍に拡大しています。会社の成長で30人の壁、50人の壁、100人の壁などとよく言われますが、3枚の壁を順に倒すのは大変なので、人事制度やOKR(目標と達成指数)も入れて1年で一気に突破しようとしています。また、それに伴ってIPOに向けた内部統制を着実に進めていけていることも、組織として強くなっていっている点だと感じます。
なぜ国は医療DXに本気になったのか
さて、本記事のタイトルにもなっている国家戦略における医療DXについてです。みなさんに、「この令和4年度に」ファストドクターに参画してほしい理由がここにあります。
これからさらに少子高齢化が進む中で、今のままの社会保障費給付はもはや持続可能ではない、というのは毎月の給与明細から引かれる厚生年金と健康保険を見ている皆さんなら共通の認識かと思います(ちなみに同額を雇用者が支払っているので、従業員が実質的に負担しているのは普段目にしているものの2倍の額です)。
こういった国の存続にかかわる難題に対して、政府は全世代型社会保障改革というものを検討し続けていますが、議論の中心は「負担と給付の分配=ゼロサムゲーム」に関するものでした。しかし今年の6月に閣議決定された「骨太の方針 2022」においては、内閣総理大臣を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」を設置する、と初めて「医療DX」という言葉が明記され(しかも総理大臣が推進本部のトップ!!)、まさに「医療DX元年」と呼ぶにふさわしい気合の入った政策が打ち出されました。
具体的には、
電子処方箋の開始
保険証の新規発行停止とマイナンバーカードへの完全移行
電子カルテ情報を共有しあえる「全国医療情報プラットフォーム」の創設 などです。
国家アジェンダとしてはもう何十年も前から最重要だったはずのものが、なぜ今、医療DXにフォーカスされ、推進されようとしているのか?1つはやはり、誰かに負担を押し付けあうだけのゼロサムゲームでは進まないという抜き差しならない状況において、医療自体の効率化という別の切り口が求められているからだと思います。そしてもう1つはコロナ禍において国家として短期間で医療DXにチャレンジし、(決して100点ではないですが)一定の成果を得た自信からだと思います。具体的には新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)やワクチン接種円滑化システム(V-SYS)などの稼働です。
菅前総理がファストドクターを視察、私たちの目を見て発した言葉
昨年9月に菅前総理がファストドクターのオフィスを視察され、15分ほどクローズドで議論をする時間をいただきました。その時にまっすぐとこちらの目を見て「若い力で何とかこの国難を乗り切ってください。何でも支援します。」と言われたことが印象的に残っています。実際、その場で私たちが提案したオンライン診療に関する規制改革(というほど大げさなものではないですが)は、その2日後に厚生労働省から緩和するとの通知が出されました。この時の国難は第5波(デルタ株)のことを意味していましたが、このコロナよりもはるかに大きな課題である2040年問題(=医療需要のピーク)という国難にどう立ち向かうのかが、ファストドクターのポストコロナの使命となります。
ファストドクターがDX化したこと、していくこと
前置きが壮大になりましたが、では、ファストドクターは一体どんな医療DXを仕掛けているのか。DXはバズワード化していてその定義があいまいなので、経産省が示しているDXの3つのステージ、
①アナログデータのデジタルデータ化
②業務プロセスのデジタル化
③ビジネスモデルのデジタル変革 に分けて具体例を上げてみます。
1.アナログデータのデジタル化(Digitization)
これは紙媒体をデジタル化するというのが一番分かりやすい例です。来年から全国で処方箋が電子化されることへの対応もここに入ります。ニッチなところだと、診察後の領収書や診療報酬明細書もファストドクターでは紙ではなく患者さんのアプリにデジタル化していて、救急往診後や救急オンライン診療後にご自宅に紙を郵送するという業務はコロナ前から原則廃止しています。そうしないと、毎日数千人分の領収書と明細書をプリントアウトしてご自宅に郵送することになってしまいます。
2.業務プロセスのデジタル化(Digitalization)
現在のファストドクターDXチームの主戦場はこの領域で、医療現場で非常にマンパワーのかかる作業を省力化・自動化することに取り組んでいます。コロナ禍の初期は、翌日判明するPCR検査の結果を、看護師が全件患者に電話をかけて伝えていました。1件で15分かかるため、担当看護師は深夜残業が続いていました。さらにピーク時は処理が遅延するので、「結果はまだですか?」と患者さんからクレームが先に入り、余計に時間がかかる負のループ。そこで、この看護師たちの悲鳴を何とかするために、マーケティング用に契約していたSMS通知サービスのAPI仕様書を引っ張り出して、SMS結果通知を2日で実装しました。その結果、5人がかりで毎日深夜残業をしていた看護師チームが、わずか2日後には、1人で午前中に結果通知業務を終わらせてしまうほど劇的に改善された瞬間でした。
1日1500人分のHER-SYSへの発生届も同様です。1人の陽性者の登録に完全手動だと10分かかる。それをいまは電子カルテからの自動登録ツールを内製し、1件2分で処理しています。1件につき8分短縮できたので、毎日12,000分 = 200時間が削減でき、医療従事者の生産性を飛躍的に高めました。このような成果は、医師においても、電話問診を担当する看護師においても多くあります。興味のある方は今後のDXチームの記事を楽しみにしてください。
3.ビジネスモデルのデジタル変革(Digital Transformation)
このステージはまだあまりやれていなくて、これからご入社いただく方たちの力を大きく借りたい領域です。現在、ファストドクターが提供している医療相談、救急往診、救急オンライン診療というのは、個別のプロセスは上述のとおり積極的に省力化されているものの、医師・看護師が引き続き人の手をもって患者さんに対応していることが最大の価値となっています。また、その対応は「救急」に強いファストドクターであるがゆえに、患者さんの人生においてはその場限りの「点」の体験です。
しかし、これからは医療機関横断での受診履歴・処方履歴がマイナンバーカードに集約され、またApple WatchのようなHealth logを取り続けるデバイスが一般家庭にまで普及する時代がやってきます。そういったPersonal Health Record(PHR)をどう日常生活の中に還元し、また診療体験の向上に活用していくのか。新型コロナウイルスの第N波が来るたびに医療崩壊を起こすような物理的に規定されている医療キャパシティの限界を、どうデジタル化して乗り越えていくのか。こういったSmart healthcareへの変革にチャレンジしていくのが、DXチームの次のテーマです。
プロダクトマネジメントといったスキルだけでなく、新しい医療体験をどうデザインして普及させていくのかというマーケティング的・事業開発的な能力もセットで発揮できるのが、この領域です。
こんな思いをお持ちの方はぜひお話してみたいです
最後に、この段落まで読み進めてくれたあなたはもう相当に、確実に日本人の上位100人に入るほど、ファストドクターのDXに関心が高いと言えます。それだけでも十分にお話をしてみたいのですが、以下のような思いに1つでも当てはまる方は、もう思い切ってエントリーボタンを押しちゃいましょう! 3つ以上当てはまる方は押さないと人生を損するレベルです。
少子高齢化社会の行く末に漠然とした不安があり、課題解決してみたい
自分の子どもたち・孫たちの世代に何か残せる仕事をしてみたい
デジタル世界に閉じず、リアル世界のデジタル化にチャレンジしたい
現職でも「それ人力でやる必要ある?」がつい気になっちゃう
「なんで医療にはこういった体験が存在しないんだろう?」という疑問をもっている
もう一度、心を燃やして仕事をしてみたい
私、起業します。でもちょっと助走はしておきたい
たぶん、いまコンタクトしていただくと、正社員ちょうど100人目のキリバンに当たる確率が高いと思います(笑)
※次週も引き続き水野さんによる投稿で、ファストドクターのDXチームにジョインする魅力についてまとめます。
お楽しみに!