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【医療統括部インタビュー】「部署の創設から2年」大きく変化した医療統括部の”今”を語る

現場に赴く医師や看護師の統括と医療品質の管理、診療現場の適切なフロー作りを担ってきた医療統括部。その部署を取りまとめる看護師の上柳菜摘さんにインタビューしたのは、2年前の2021年7月のこと。あれから2年、ファストドクターの事業展開に伴い医療統括部の業務内容にも大きな変化がありました。スタッフも増えたなかでどのような変化があったのか、また現在の役割とこれからについてお話しを伺いました。

▼前回の上柳さんの記事はこちら


2年間での変化、そこから見えてきた課題

ーー上柳さんには2年前にもインタビューさせてもらったと思いますが、あらためて当時のお仕事の状況をお聞かせいただけますか。

上柳:
2年前というと、医療統括部の社員は私と同じく看護師である井手さんの2人体制で動いていた時期だったと思います。それから数ヶ月後、看護師である菊地さんが入ってくれました。当時は井手さんがフォローアップチームの仕事をメインでしていて、私は医療統括の仕事に対応していました。今の仕事内容としては大きく変わりませんが、「現場に赴く医師・看護師の統括と医療品質の管理」「診察後の経過観察をする看護師チームの統括」「医師・看護師がより良く働ける環境構築」を行っていました。ファストドクターの医療機関向け支援事業である往診代行サービスも当時はまだなく、法人事業部もごく一部のエリアでのみ展開していた頃です。

それから2年の間で、新型コロナウイルス感染症の流行の波が何度もありながら、多くの患者さんや医療プレイヤーをサポートする目的でファストドクターとしても各事業としても規模が大きくなっていきました。これにより、ファストドクターに登録して往診してくださる医師や診察依頼数も増え、本来医療統括部が担う医療の品質を担保することと、医療者への責任を持つことに関しても責任と領域が大きくなってきたのがこの2年間の大きな変化だったと思います。

ーー組織としても大きくなってきたところで、何か課題が見えてきて、それに対しての打ち手のようなものもあったのでしょうか。

上柳:
たとえば、これまでは各プロジェクトを進行していくなかでも、社員数が少なかったのでプロジェクトを動かしている担当者とすぐに相談して連携がとれる状況でした。ただ、現在は各プロジェクトが多方面で動いていて、規模も大きくなっているため、どこの部署がどのようにプロジェクトを進行させているか、すべて把握しきれないことが発生してくるようになりました。

そのため、各事業やプロジェクトに窓口担当を設置しました。その窓口担当者が医療統括部の代表としてプロジェクト内の医療に関するフローが適切に動いているかなど確認することで、医療の品質を担保する動きになっています。また、週に2回は医療統括部のミーティングを設けていて、部署としての行動計画や各プロジェクトの進捗確認などの情報共有の場としています。そこから気になるところがあれば、Go ,GEMBAして実際に見に行くようにしています。

現在の医療統括部の体制と新しい取り組み

ーー現在の医療統括部の体制について教えてください。

上柳:
医療統括部のなかには、

・医療企画グループ
・フォローアップグループ
・医師コミュニケーショングループ の3つのグループがあります。

医療企画グループは各事業やプロジェクトに入り、窓口担当として医療品質を管理するグループです。また、救急往診事業においての”医療企画”という役割も担っています。たとえば、法人事業部で新しい顧客を開拓していくとなった際に、麻薬の管理ができるようになれば契約先をもっと広げられることがわかったとします。そして、その麻薬をファストドクターではどのように管理できるのか、そして、どのように運用に乗せていくのか、そのフローを各部署と一緒に考えていくことが「医療企画」の仕事内容です。薬剤によっては同意書が必要で注意事項もたくさんあり、実際に処方する際には往診する医師たちにどのように周知していくか、診療の場面でどのようにしたらスムーズに処方できるようになるかなど、医療統括部がメインに考えていることだと思います。

各事業やプロジェクトでやりたいこと、ブラッシュアップさせたいことは本当に多数あります。ただし、医療としての品質の問題ももちろんありますが、結局のところ実務として担うのは現場の医師や看護師です。医師によっては往診をするなかでBtoC、BtoG、BtoBと1日を通して依頼形態の異なるさまざまな診療をする場合があります。そうしたときに、事業やプロジェクト単位で記録のフローや方法が違うだけで混乱してしまうわけです。そのため、基本的にはそうした情報を整えること、横串のように他部署との統制をとることが、医療統括部の大事な役割なのかなと思っています。

フォローアップグループは、診療後の患者さんのアフターフォローをするグループです。フォローの対象は複数あるのですが、たとえば特殊な薬が処方されて、オンライン診療で10日分の抗菌薬が処方されているなど、処方薬や治療に関する重要度・優先度の高い人、または往診医から「翌日受診できたか確認してほしい」という依頼があったケースなどを優先的に対応しています。また、PCR検査のように翌日結果が出るものをお伝えするほかに、かかりつけ医のいない患者さんには、翌日改めてご連絡をして体調の様子を伺い、必要に応じて近隣の医療機関をお知らせするなど、かかりつけ医つくりもフォローしていくこともあります。

医師コミュニケーショングループは新しく立ち上げるグループです。医療統括部のミッションは「医療としての正しさを守る」「医療者への責任を持つ」という2つの軸ですが、医師に対するコミュニケーションがうまくとれていないことが課題としてありました。これまでは、往診の合間にトラブルが起きているときや、医師に対して診察時の状況確認をしなければならないときにコミュニケーションをとるため、ネガティブな連絡が多い状況がありました。しかし、診療の現場をみていると、真摯に対応してくれている医師、長きに渡り携わってくれている医師も多くいます。そうした医師に対して現状のステータスが可視化できるようにすることや、ファストドクターに対してポジティブな思いを持ってくださるように、コミュニケーションを図っていくことを目的としたグループを作りたいと思っています。

ここはCRM「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の経験があるマネージャークラスの戦略担当者と、運用担当者として医療者を入れたいと思っています。

医療統括部、グループそれぞれのやりがい

ーー医療統括部には3つのグループがありますが、それぞれのやりがいはどんなところでしょうか。

上柳:
医療企画グループ
は新しいことを構築していく楽しさがあると思います。たとえば、今ある「地域連携室」という夜間や休日の病院への転院調整をするチームは、医療統括部のメンバーがゼロから作りました。この立ち上げには、フローを作るのはもちろん、リーダーとメンバー含めてどういう人を配置したらいいかなども企画しなければなりません。また、既存のフローとの連携を滞りなく遂行するためにはどうしたらいいかと考え、運用するのが楽しいところだと思います。やったことのないことにチャレンジできるのは面白いところです。

また、新しく構築することだけでなく、うまくいっていないものや役割が終わったプロジェクトなどに関しては、業務終了の判断をすることも大事です。たとえば、コロナ禍で頻繁にされていたPCR検査もさまざまな状況が変化しているなかで、どこまでやるのか、もし検査自体を終了したとしてどういった影響があるのかヒアリングして、影響範囲や工数を考え、業務だけではなく医学的な評価も含めて総合的に判断しなければなりません。

フォローアップグループは、患者さんと直接関わるため、感謝される場面が多いこともやりがいに感じるところです。また、通常の診察であれば、その後どうなったかは入院中の患者さんでないとわからないことも多いと思います。ただし、ファストドクターの場合には、その後の経過も確認していけるので、患者さん自身も病院に行くほどではないけど、少し困っていることがあって悩みを解決できたと、安心してくださいます。それは医師たちも同じで、「あの患者さんどうなったかな」という気持ちの不安を軽減するために、役に立っていると思います。

往診医師コミュニケーショングループは、まだこれからの部署ですが、医師たちへのエンゲージメントを高めるところにやりがいを感じるのではないでしょうか。ファストドクターで働く医師たちの働きがい、やりがいをどう引き出すのかを考えていけるところは楽しいと思います。

診療現場の医師や看護師がより働きやすくなる環境を

ーー医療統括部はこれからどのような組織を目指していますか。

上柳:
1番は診療現場の医師や看護師が困らないこと、より働きやすくなる環境を作ることが急務だと思っています。そして、今のところは医師たちの存在が点と点になっている部分もありますが、ファストドクターの看板を背負っている医師たちとしての集団、医師団のようなものを作っていきたいと考えています。これは現状たくさんの医師が参画してくださっていることもあり、どのような医師が来ても一定品質の医療を届けられるように、安心して任せられる体制を整えていかなければなりません。医師への教育コンテンツの提供なども視野に入れています。

これまでも医療統括部のメンバーは”目の前に起きていること”への責任感を強く感じながら、やってきました。これまで経験したことがないようなことを含め、新しいフローを作っていく場面で想定外のことが起きて大変な事態になっても、そのなかでそれぞれができることをやり助け合う姿勢がありました。結束力が高い状態でここまで来られたので、これからもチームで団結して、より良い組織構築をできるよう引き続き頑張っていきたいと思います。

ーー最後に医療統括部にはどのような人がフィットすると思いますか。

上柳:
医療企画グループでいえば、課題意識があって自分で解決しないと気が済まないような人がフィットするのではないかと思います。反対に、施設ごとに違うルールに対して、「ここのルールはこうだから」と思い込んで問題や課題に気づかないような人は向いていないかもしれません。「なぜこのルールなのか」「どこまでが許容範囲なのか」とルールの理由や限界を知りたいという人に向いていると思います。

また、純粋に医療に携わることが楽しいと面白みを感じている人も大歓迎ですね。医療統括部は医学的な判断が求められることもあるので、医療的なバックグラウンドがあるなかで問題解決を自分でやっていくことになると思います。この主体性とスピード感が大事ですね。いつか調べようでは一生知識や行動は伴わないと思うので、気になったらすぐにその場で調べて次のアクションを起こせる人にジョインしてほしいです。

文:白石 弓夏
撮影場所:WeWork 東京ポートシティ竹芝

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